朝日広告をやめブログ記者まで集めた自民の広報戦略


 さすが自民党というべきか、長年第一党を続けてきただけのことはあって、本気になった自民党は老獪である。自民党・朝日・bloggerの立ち位置を理解している。もちろん、自民党がbloggerを本当に信用しているのか、というようなことはまた別の話だ。幹事長がblloggerを呼んで懇親会を開いたというニュースだけで、(1)保守系bloggerに対する“アメ”、(2)インターネット上の輿論を活用しようという姿勢のアピールが期待できるだろう。その上での朝日の広告外しは、好意的に報道しない朝日への合法的な嫌がらせにもなる。

 まあ、嫌がらせとは言っても安倍中川発言捏造事件が未解決なわけで、ある意味では当然の態度ではあるし、よもや天下の朝日新聞は、「広告を出してくれなくなったから悪く書きます」とか、「悪く書かないから広告お願いしますよ」なんてことは金輪際言えないかろう。しかも朝日プギャーm9(^д^)な層(これはネット上如何に関わらず)に対するプレゼン効果もある。


 一方の民主党は、確かにこちらもwebサイトでの広報があるのだが、選挙の大敗から国民バカ論を主張して炎上するblogがあったりと、いまひとつ脇が甘い。もちろんこれは与野党という立場の違いがあって、特に“革命気質”の抜けない民主党にとっては、政権を口汚く罵って気勢を上げるのが常套手段となっているのか、もともとが左翼体質で、右寄りのネット輿論から好かれていないところに、口撃の口実を与えてしまっている。(まあ、自サイトでリンクを貼っている国会中継サイトに、自分が会議中に折り紙を折ったりケータイをいじっているところをバッチリとられてしまうような大間抜けは、とっとと首を吊った方がいいように思うが。)そういう意味では自民党候補者の炎上は、佐藤ゆかりだかがwebの履歴に何か残してボヤになったぐらいだろうか。証拠が残りコピペとして喧伝されやすいweb上に関しては、今のところガードが堅い。


 敢えて民主党寄りの言い方をすれば、それだけ自民党は発言が制限されていて、民主党は自由に書いているとも言えなくはないが、にしても今まで政治家の失言は、捏造に近い切り貼りだったにせよ「言った方が悪い」とされてきたわけだ。「植民地支配でいいこともした」とか、いわゆる「神の国」発言なんかも、前後の文脈も踏まえたものであればあそこまで騒ぎとはならなかったろうに、センセーショナリズムに満ちた切り貼りであのような事態となった。それをマスコミは、ひとつも反省しないどころか言及すらしてこなかった。(田原総一朗が森前総理に対して「総理だから擁護しなかったけど、あれはちょっと可哀想だと思った」と言ったぐらいではないか?) 

 確かにその態度には賛成する。政治家や政治的立場にいる者は、縦え引っかけであっても「そのような発言をしたこと」を以て問題となりうる。「日本外交官、首都の真ん中で『独島は日本のもの』発言」とかやられてしまうわけだ。だから、切り貼りとキャプション次第ではネガティブキャンペーンにも使えるような発言をweb上で行うのは慎むのが妥当ともなろう。よって、この民主党関係者に多く見られる炎上も「ガードが甘い」のであって、自由な発言云々という話ではない。


 本来ならば、そうした悪質な切り貼りやキャプション捏造に対しては、叱るべき反論や第三者の指摘によって反証あるいは名誉が充分に恢復されるべきものであり、そうしたことが正しく行われる状況こそが真の民主的言論というものなのではないかと想像するのだが、残念ながら、我が国のマスコミ状況はこのような形にはない。特に、自分の主張や思想にとって有利にそれが働いたときに「それはフェアではない」とする態度はマスコミには皆無である

 思想の左右を問わず、民主主義を正しい思想だと思っているのなら、この状況についての考察や反省が見られても良いのではないだろうか。尤も、悪意のある捏造によって発言を曲げて喧伝されることを「良くない」とする価値判断は、民主主義への賛意以前の問題だと思うが。